1994
(平成6年)
1994年度(1994年4月〜1995年3月)
相談受付件数
総受付件数4,403件
相談内訳|業種別
- 1通信販売
- 2人事募集
- 3食料品
- 4内職
- 5会員募集
- 6金融・保険
- 7不動産
- 8自動車
- 9塾・教室
- 10飲料
相談内訳|媒体別
- 1テレビ
- 2折込
- 3新聞
- 4雑誌
- 5チラシ
- 6ダイレクトメール
- 7パンフレット
- 8電話勧誘
- 9ラジオ
- 10電話帳
1994年度(1994年4月〜1995年3月)
広告・表示に関する意見の傾向
1994年度の日本経済は、低迷の続く厳しい状況から始まったが、同年2月の政府による総合経済対策の決定や景気に配慮した予算の実施などにより、個人消費など一部に明るい動きがみられるようになり、緩やかながら回復基調をたどって企業マインドも改善されるようになった。
このような情勢の中、JAROの相談受付は前年比18.2%増の4,403件という結果になった。この増加は長年のPRによるJAROの知名度向上に加え、阪神・淡路大震災(1995年1月17日)によって一般的な広告が自粛されてJAROのテレビCMが大量に露出したという特別な事情があった。苦情を内容別にみると、最も多いのは「通信販売」であった。通信販売は成長産業の一つであるが、通信販売業者の商品についての知識が十分でないことが原因となって、広告と実際が異なるというケースや、商品にかかわる法規制の知識に乏しいためにトラブルとなるケースなど、問題広告が多く発生した。なお、同年度は審査委員会における審査が1件あり、当該広告主に裁定書を発信した。
1994年度(1994年4月〜1995年3月)
寄せられたご意見(一部)
イビキ防止器(通信販売)
テレビで「イビキ防止器」の通信販売広告を見た。この器具を腕につけて就寝すると「高感度のセンサーがイビキを感知し、微弱なシグナルを送って寝不足がなくなる」とうたっていたが、実際は弱い電気ショックで目が覚めて、その結果イビキが止まるというものだった。かなり痛みがあり、大変不愉快だ。
人事募集
保険会社の人事募集の折り込み広告に、「端末機操作・ダイレクトメールの宛名書き」などと、いかにも事務職のような内容が書かれていた。 応募したところ、面接で「中小企業を訪問し、代表者に保険を売る外回り営業が仕事」との説明を受けた。広告には「個別の家庭訪問や職域訪問はありません」とあるが、会社を回るのは「職域訪問」ではないだろうか。
脱毛用品(通信販売)
スプレーを肌に吹きかけて「毛球細胞脱毛」ができるという商品の通信販売広告を雑誌で見て注文した。届いた商品は、脱毛したい個所に貼るテープと、テープの上から吹きかけるスプレーのセットだった。このスプレーは、捻挫や打撲のとき、冷却して痛みを和らげるためのもののようである。脱毛はテープだけで十分可能なので、なぜスプレーが必要なのか。消費者を惑わすような広告は許されるのか。
健康食品
A県で健康食品の折込チラシ広告を見て、その商品を購入した。その後、B県にある実家に帰省したら、たまたまその会社の同じ広告が配られていた。商品は食べれば痩せられるという健康食品で、広告にはこの商品を使用した人の氏名、居住している県の名前、体験談などが掲載されていたが、氏名や体験談の内容が全く同じなのに、A県から、B県に変わっていた。 広告には、「体験者の好意で掲載許可をもらっているが、プライバシーを守るため、住所や氏名は一部変えている」というただし書きが掲載されていたがプライバシーとは関係ないことで、おかしいと思う。
学習塾
学習塾の折込広告に、「教材は、教科書100%準拠・日本唯一の文部省推薦」「地域ナンバー1の実績」などと表示しているが、事実なのか。
携帯電話
携帯電話専門店の新聞広告に「5月1日から1カ月間店頭または通信販売開始」「新規加入料大幅値下げ」「売り切り商品も特価」という見出しがあり、その下に各社の主要機種の写真が掲載されていて、それぞれの機種ごとに、「53,200円を39,700円」などと値引き価格が表示されている。この店に出向いて申し込みをしようとしたら、広告に表示している価格は「売り切り(買い取り)」ではなく「レンタル」だと言われた。広告には「売り切り」「レンタル」の表示が全くされていないので、大変紛らわしい。また値引きの元になる価格は一体何なのかもはっきりしない。
化粧品
化粧品の新聞折込広告で、「1回の使用から効果を実感していただけます」「あらゆるタイプのお肌をしっとりとなめらかに」などと表現しているが、誇大ではないか。また、「化粧品で唯一の特許商品」と表示しているが、多数ある化粧品の中で、この商品だけが特許を取得しているかのように解釈される。このような事実が本当にあるのか。
エステティックサロン
新聞広告で、エステティックサロンが痩身モニターを募集していた。その中に「ダイエット食品4カ月分と、正しくやせることが分かるビデオ・カセット、テキスト無料」と記載されていたので応募した。2~3日してパンフレットが届き、当選したが、パンフレットに掲載された約10万円の健康食品を買わないとモニターになれないという。パンフレットには、「痩身通信講座コース約10万円が無料」と表示されているが、広告を見る限り、モニターになればすべて無料になるとしか理解できない。
ペット用品(通信販売)
新聞で、「野犬・野良猫撃退器」の通信販売広告を見た。「高周波で野犬や猛犬、野良猫を撃退!犬や猫にだけ聞こえる超音波を強烈な音圧で発し、不快感を与え、獰猛な犬も瞬間的におとなしくさせ、追い払う」というので購入した。商品取扱説明書のとおり、「犬の正面5メートル以内で作動」させたが効き目がない。この商品の本体には「犬訓練器」と表示されている。
1994年度(1994年4月〜1995年3月)
REPORT JAROの記事より
- 「製造物責任法」案を国会に提出(1994年6月号)
- 第20回通常総会報告「確固たる審査体制を目指して 組織、PRの拡充・強化へ」(1994年7月号)
- 「消費者モニター制度」愛知地区で実施「問題あり」は4.2%――物品販売では二重価格表示、役務提供ではエステや学習塾に問題ありとの結果。(1994年7月号)
- 消費者問題で理解を深め合う~ACAP(消費者関連専門家会議)と初めての懇談会~(1994年8月号)
- 広告研究講座「製造物責任法の制定と今後の諸問題」(1994年9月号)
- デジタル化の波とメディアの変化「大きなうねりを巻き起こすマルチメディア」――関西JAROの会セミナー(1994年9月号)
- 平成6年度上期行政連絡会 環境省もメンバーに加わる「消費者問題の進展に対応」(1994年10月号)
- 新刊紹介「PL法と取扱説明書・カタログ・広告表現」(1994年2月号)
1994年(1月〜12月)
世相と広告
世相
出典:電通 広告景気年表より
長期低迷を続けていた日本経済は所得・住民税減税や公共投資の拡大など総合経済対策を決定し、緩やかではあるが景気回復の傾向が出てきた。為替は11月に1ドル=96円40銭と戦後最高値を更新。この年、関西国際空港が開港。平成コメ騒動が起きた。また、向井千秋さんが日本人女性初の宇宙飛行士に。日本の総広告費は5兆1,682億円(対前年比100.8%)。3年ぶりに前年を上回る。自動車・関連品やサービス・レジャーの広告が活発化。
JARO ピックアップ トピック
出典:消費者庁 消費者問題年表より
- 国産米品薄で価格が急騰(2月)
- 「製造物責任法(PL法)」公布(7月)
- 国民生活審議会消費者政策部会消費者行政問題検討委員会、「今後の消費者行政の在り方について」報告(11月)
流行した広告
出典:電通 広告景気年表より
- 宝酒造・タカラカンチューハイDX<すったもんだが、ありました>
- 湖池屋・ドン・タコス<ストリート・オブ・ドン・タコス>
- JR東海・京都キャンペーン<そうだ京都、行こう>
- NTT移動通信網・ムーバ<課長・島耕作>
- 日本移動通信・タックスミニモ<きっと、IDO>
- ツーカーセルラー東京<ミチコと話す>
- 国際電信電話<安いがイチバン>