1984
(昭和59年)
1984年度(1984年4月〜1985年3月)
相談受付件数
総受付件数1,390件
相談内訳|業種別
- 1内職
- 2人事募集
- 3食料品
- 4通信販売
- 5金融・保険
- 6不動産
- 7広告業
- 8会員募集
- 9医療用具
- 10各種学校・養成所
相談内訳|媒体別
- 1新聞
- 2テレビ
- 3雑誌
- 4チラシ
- 5折込
- 6ダイレクトメール
- 7パンフレット
- 8看板
- 9ラジオ
- 10電話帳
1984年度(1984年4月〜1985年3月)
広告・表示に関する意見の傾向
1984年度の日本経済は前年に引き続き輸出依存型で、国の緊縮財政の影響も受け消費が伸びず、広告費の伸びも低率にとどまった。厳しい社会環境をそのまま反映するように、社会的弱者を狙い「仕事を得るためには〇〇が必要となる」などと説明し、高額な物品の購入や講座の受講を持ち掛けるが実際には仕事が得られないなど詐欺的な広告が目立った。具体的には「新聞に掲載された『秘書センター・月25,000円』との広告を見て仕事に関する話と思いきや、22万円の機器の購入が必要と説明された」など。業種としては「内職あっせん」「人事募集」「会員募集」「代理店募集」「金融」「投資」「各種学校・養成所」などで広く同様の苦情が見られた。媒体では、新聞、テレビ、雑誌、チラシが上位を占めた。
1984年度(1984年4月〜1985年3月)
寄せられたご意見(一部)
通信販売
テレショップなどの説明の際、よく「百貨店調査価格〇〇円」とうたっている。「店頭販売価格」なら理解できるが「調査価格」というのは許される表示なのか。
内職
「自宅で出来る5万円・当会からお渡しする広告での簡単なPR業務」というチラシを見て電話したところ担当者がやってきて「“奥さまに最適なアルバイトの会”に入会して20万円の羽毛布団を買わなければならない」と言われた。正体不明の不当な内職ではないか。
広告のとり方
通信社という名を使ったところから電話があり「スポーツ紙からあなたの店が推せんされたので広告を出してほしい」と依頼があった。応対した父が私に相談するので待ってほしいと言ったのに、OKしたとして一方的に「5万8千円を払い込め」と言ってきた。
人事募集
求人誌を見てテレビレポーターのオーディションに応募し採用された。ところがレポーター養成講座受講が条件で15万円が必要と言われた。
医療用具
ゲルマニウムを用いて肩こりをなくす、といった製品のCMの中で「一度使用したものでも引き続き何度でも使え800年有効」といっているがあり得ないのではないか。
食料品(みやげ物)
高速道路の売店で、容器の掛け紙にあわびの写真がある「あわび入りの漬け物」を買った。大根やカマボコのようなものは出てきたが、あわびは最後まで出てこなかった。
会員募集
「絶対に儲かる」というふれこみの投資情報の会に入会した。指示通りの証券運用をしたのに2度とも損をした。以後、断ったところ脅迫電話をかけてくるので困っている。
不動産
「半年後に駅前にショッピングセンターが出来る」というパンフレットを見て駅そばのマンションを購入したが、半年たっても計画が進捗した様子が全く見られない。購入にあたっての重要なポイントが約束違反となった場合、どのように責任を取ってくれるのか。
非科学的商材
心霊雑誌に載っていた「運動で視力や運動神経を良くする」という広告を見て3,000円を払い応募した。指導書の通り5カ月以上続けたが、視力は全くよくならない。どんな人でも1週間でOKと書いてあったが先方とも連絡が取れない。
通信教育
翻訳家養成学校の広告中に「書いてある英文を訳せば受講を許可します」とあったので訳して送ったところ、「今なら1万円引きの6万5千円で特待生として扱う」と言われ入学した。送られてきたテキストを見ると、広告中の英文とは異なり格段に難しいものであった。お金を支払わないと実際の程度、内容がわからない仕組みは許せない。
食料品
味噌のCMで将棋盤の上に味噌汁のお椀を置くのはけしからん。将棋盤に熱いものをのせると使いものにならなくなる。
1984年度(1984年4月〜1985年3月)
REPORT JAROの記事より
- タモリさんインタビュー「広告の時代とタレント『自由にやらせて貰っています』」――著名人や文化人にインタビューし広告について思うところを語ってもらう企画にタモリさんが登場した。(1984年4月号)
- 北海道広告業協会が5月からJAROの窓口に
- 「ニューメディア時代の展望」東京広告協会集中ゼミ――ニューメディアとして、INS(高度情報通信システム)、キャプテン(文字図型情報通信システム)VAN(付加価値通信網)、ケーブルテレビなどが注目されていた。他に、ファクシミリ、テレビ電話なども。(1984年5月号・6月号)
- 台湾広告産業視察団が来訪――同視察団は日本生産性本部が日本政府の委託によりAPO事業(アジア生産性機構)の一環として行っていた。昔は国際的な交流が度々行われていた。(1984年4月号)
1984年(1月〜12月)
世相と広告
世相
出典:電通 広告景気年表より
国内ではグリコ・森永事件、海外では完全民間運営のロサンゼルス五輪大会が開催された。経済成長率は名目6.7%、実質3.9%と景気回復基調ではあったが、企業の倒産件数は2万件を超し大型倒産が相次ぐ。東京証券取引所第1部のダウ平均株価は年末に1万1,500円台まで上昇、株高が続いた。日本の総広告費は2兆9,155億円(対前年比104.8%)と昭和50年代もっとも低い伸び率となる。
JARO ピックアップ トピック
出典:消費者庁 消費者問題年表、REPORT JAROより
- 国民生活センター「PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)」運用開始
- 割賦販売法に、後払い式割賦販売、ローン提携販売、割賦購入あっせんの広告をする際の表示事項を定める規定が加えられた。
流行した広告
出典:電通 広告景気年表より
- 三菱自動車・ミラージュ<エリマキトカゲ>
- サントリー・ローヤル<ガウディ>
- サントリー・ペンギンズバー<回覧ネコ>
- キッコーマン・がんばれ玄さん<がんばれ、がんばれ、玄さん>
- アルマン・パイポ<私はコレで会社を辞めました>
- ロス五輪協賛各社<「がんばれニッポン」キャンペーン>
- 西武流通グループ<うれしいね、サッちゃん>
- ソニー・ベータマックス<ベータマックスはなくなるの?>
- 東陶機器・ウォシュレット<おしりの気持ちも、わかってほしい。>