1974〜1983
1st Decade: 体制確立期
〜新聞広告への相談が圧倒的/食料品、広告のとり方、不動産〜
1974年度〜1983年度
JAROに寄せられた相談件数推移
業種別
棒グラフ:全体件数 折れ線グラフ:上位10業種の件数推移
1位.食料品 448件
2位.広告業 428件
3位.不動産 333件
4位.人事募集 289件
5位.内職 271件
6位.通信販売 255件
7位.金融・保険 235件
8位.出版・印刷物 182件
9位.医薬品 142件
10位.家庭用電気機器 133件
全体の件数 7,693件
※主なご意見の推移をみるため、この10年におけるトップ10業種を算出し、また、その推移をグラフ化しました。各年のトップ10は下部「各年のデータはこちら」よりご覧ください。
媒体別
棒グラフ:全体件数 折れ線グラフ:上位10媒体の件数推移
1位.新聞 2,363件
2位.放送 1,532件
3位.雑誌 758件
4位.折込 356件
5位.チラシ 286件
6位.ダイレクトメール 99件
7位.看板 93件
8位.パンフレット 86件
9位.ポスター 69件
10位.訪問 61件
全体の件数 7,693件
※主なご意見の推移をみるため、この10年におけるトップ10媒体を算出し、また、その推移をグラフ化しました。各年のトップ10は下部「各年のデータはこちら」よりご覧ください。
1974年度〜1983年度
広告・表示の傾向とトピックス|サマリー
基盤づくりの10年
1974年は高度経済成長期(1973年ごろまで)の直後である。設立からの10年間は第1次・第2次オイルショック、激しい物価高騰、環境問題などが起こり、消費者運動も活発化した時期である。
これに合わせた行政の施策も規制強化の方向に推進された。景品表示法では景品告示やおとり広告告示などが指定され、訪問販売法や貸金業規制法の新設、薬事法や旅行業法の改正、自治体の消費者保護条例が次々と整備されていった。
業界の自主基準作りも相次ぎ、公正競争規約はこの10年で多くが策定された。企業においても消費者窓口の設置が進んだ。
オイルショックにより1979年に省エネ法が成立すると、深夜放送の自粛やネオン点灯の時間制限などが行われ、広告でも省資源に関するものが増加した。
消費者問題では、消費者金融(過剰融資やヤミ金融)、マルチ商法、詐欺的な内職あっせん、ねずみ講などのほか、環境問題から合成洗剤追放運動なども起こった。
この期間のJAROの受付状況を見ると、不表示や誇大表現など消費者を誤認させる不動産、人事募集、健康食品、通信販売、旅行などの苦情が多く、中には広告の取り方、内職商法など詐欺的なものも目立った。一方で、テレビCMを中心にその表現に対する声が寄せられており、不快な印象を与える、子どもの教育上好ましくないなど、2024年現在と同じような意見も見られる。
媒体別では、この時期は新聞が多くを占める。1974年度から毎年、1位新聞、2位放送(※)、3位雑誌の順となり、これが1980年代後半まで続く(1982年度のみ新聞、テレビ、チラシ、雑誌の順となる)。
※「放送」については1974年度から1978年度までテレビ、ラジオを合わせた件数であり、1979年度から両者を分離した。
業務委員会での審議では、講座、金融商品、レコード、百科事典、化粧品や健康食品、パッケージツアー、イベントなどさまざまなものが扱われた。関係団体や企業と協力して改善を図るケースもあり、審議結果の「見解」を基に、関係団体は自らの自主基準を変更したり、関係団体の傘下会員企業に周知するなど広告適正化への連携が多く生まれた。これは、設立当初から毎年実施してきた「関係団体協議会」(広告の自主規制を行う業界団体や公正取引協議会との会議)で各団体と関係性を構築してきたことが大きく寄与している。企業・団体・JAROがともに適正化を推進するという自主規制のあるべき姿が実施できた例である。
消費者による広告への不信感の高まりからJAROは設立され、その使命を果たそうと、1件1件の苦情と向き合った10年であり、この時期に整備されたものがJARO50年の基盤となった。